newsrelease

 
2002/10/16 トーヨーエイテック、業界初の外径研削盤など3機種を新開発
―「第21回日本国際工作機械見本市」に出展 ―


 内面研削盤のトップメーカーであるトーヨーエイテック株式会社(本社 広島市南区、山本克明社長)は、業界初の外径研削盤をはじめ時代のニーズに応える新商品を開発し、発売を開始した。この度の新商品は、以下の研削盤3機種。

(1)業界で初めて内面研削盤をベースに外径研削を可能にしたT-11LA88型内面研削盤(外径研削仕様) 写真
(2)コンプレッサのベーン溝を業界最速のサイクルタイムで研削するT-295型ベーン溝研削盤 写真
(3)1台で内面研削とホーニング加工を行うT-10N17H型複合研削盤 写真

 同社では、来る10月28日から11月4日まで東京ビッグサイトで開催される「第21回日本国際工作機械見本市」に、この3機種を出展する。同見本市には、インテリジェントスピンドルとして開発した世界初の温度センサー付高周波ホイールヘッドやAEセンサー付高周波ホイールヘッド(いずれも実機に搭載)、環境対応型スピンドルであるエアーレスホイールヘッドなど同社の技術力の高さを示すユニット類も出展する。

【第21回 日本国際工作機械見本市への出展物一覧】
出  品  機 T-11LA88型内面研削盤(外径研削仕様)
T-10N17H型複合研削
T-295型ベーン溝研削盤
ユ ニ ッ ト、そ の 他 温度センサー付高周波ホイールヘッド
AEセンサー付高周波ホイールヘッド
エアーレス高速ホイールヘッド(GHシリーズ)
ベーン溝研削ヘッド
補正機構付ボーリングクイル
表面処理製品

【新商品および主要ユニットの概要】
T-11LA88型内面研削盤(外径研削仕様)
 T-11LA88型内面研削盤は、同社の主力内面研削盤であるT-11Lシリーズのセンタレス機(T-11L88)の後継機種として、今回新たに開発した。センタレス機の主要顧客であるベアリングメーカーからの要望を取り入れて省スペース化に取り組み、センタレス機専用のクロステーブルの搭載や省エネ機器の採用など、ベースとなっているT-11L88型内面研削盤と比較して30%の省スペースと35%の省エネ(GH型エアーレスホイールヘッド搭載時)を実現している。
■販売計画台数 : 60台/年(外径研削仕様機を含む)

 今回見本市に出展する外径研削仕様機は、この省スペース・省エネ型でコストパフォーマンスの高いT-11LA88型内面研削盤をベースとし、CVJ(等速ジョイント)のケージ外径面の加工用として開発した。内面研削盤をベースに外径研削を実現したのは業界初。
(1)省スペース:省スペース型の内面研削盤をベースとしているため、同様の加工を行うT-235型外径研削盤と比較すると40%の省スペース化を実現している。
(2)高能率・高精度加工:内面研削用の高剛性高周波ホイールヘッド(dn値210万)を採用することで、分速約5000mの超高速外径研削が可能である。これに加え、ホイールヘッドを傾けて加工するヘリカル研削の採用で、サイクルタイムはT-235型外径研削盤よりも20%短い20秒を達成した。さらに、世界で初めてホイールヘッドの軸内部に温度センサーを組み込み、温度変化に伴う加工位置の変化を補正することで、より高精度な加工を実現している。
(3)ランニングコストの低減:外径研削盤用の砥石と比較して約1/5のサイズの小径砥石を使うため、砥石交換に伴う作業時間を大幅に短縮できる。

T-295型ベーン溝研削盤
 ロータリーコンプレッサ用シリンダーのベーン溝を高精度、高能率に加工する研削盤である。ベーン溝研削盤の開発は同社では初めて。新開発のベーン溝研削ヘッドなどの採用により、サイクルタイムは業界最速の20秒を実現した。
(1)高精度加工:ディスク形状の砥石を精密ベアリングで両端支持した高剛性研削ヘッドを新たに開発した。さらに、砥石は強化タイミングベルトで駆動することで毎分2万回転の高速回転を実現し、ベーン溝を高精度に加工できる。
(2)生産性の向上:高速・高剛性研削ヘッドによる研削時間の短縮に加えて、2ワークヘッド・インデックスとガントリーローダの搭載で非削時間を大幅に短縮し、サイクルタイム20秒という高い生産性を実現している。
(3)保守性の向上:強化タイミングベルトや摩耗が少ないビトリファイドCBN砥石の採用などにより、消耗品の長寿命化を実現した。これにより、部品交換に伴う作業を含むランニングコストを大幅に低減することができた。
■販売計画台数 : 20台/年

T-10N17H型複合研削盤
 量産型内面研削盤として好評を得ているT-10Nに、ホーニングツールをワークヘッド内へ搭載した複合研削盤。同社の得意とする内面研削技術とホーニング技術を、1台の機械の中にコンパクトに集約している。
 世界初のAE(Acoustic Emission)センサー付ホイールヘッドを搭載し、これまで困難とされていた小径内面研削時の砥石と加工物との接触検知を、1μm(毎分15万回転時)の高精度で可能にした。さらに、小径部品をワンチャッキングで内面研削とホーニング加工を行うため、燃料噴射ノズルや燃料ポンプなど高精度が求められる部品を安定的に高精度加工できる(面粗さ0.4μmRz以下)。
■販売計画台数 : 20台/年

温度センサー付高周波ホイールヘッド(T-11LA88型に搭載)
 リアルタイムで砥石軸の温度変化をモニタリングするために、無線機・計測器の技術で定評のあるドイツのDittel(ディッテル)社と共同で、温度センサー付ホイールヘッドを開発した。このホイールヘッドの特徴は、砥石軸内に温度センサーを組み込んだこと。これまで、ホイールヘッドのボディに温度センサーを組み込んだ例はあるが、軸に組み込むのは世界で初めて。
 加工中の熱による砥石軸の伸び変化が予測でき、これを補正することで工作物の芯位置精度が向上し、より高精度な加工が可能となった。

AEセンサー付高周波ホイールヘッド(T-10N17Hに搭載)
 毎分15万回転用のAEセンサー付高周波ホイールヘッドを、ディッテル社と共同で開発した。これまで毎分8万回転程度のAEセンサー付ホイールヘッドはあったが、15万回転という高速回転のホイールヘッドでは世界初。
 一般にホイールヘッドの回転数が高くなるとそれに伴ってノイズが増えるため、高速回転では正確に計測することが困難であったが、トーヨーエイテックのスピンドル技術とディッテル社のセンシング技術とで実現させたもの。これにより、毎分15万回転時に1μmレベルの高精度で、砥石と加工物との接触が検知できるようになった。

エアーレス高速ホイールヘッド
 これまでオイルミスト潤滑でなければ達成できなかったdn値(*)100万をグリース潤滑で達成し、高能率加工をエアーレスで実現させた。これにより、加工現場での環境改善に貢献するだけでなく、圧縮エアーが不要となるためエネルギーの消費を抑えられる。さらに、多量のクーラントや切粉が飛散する環境においても、独自に新開発した自己吸引型エアーシールの採用によりホイールヘッド内部の気密性を確保し、高い信頼性を発揮する。
(*)dn値:高速性の指標で、軸受の内径(mm)×毎分の回転数(rpm)