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ニュースリリース

2014/3/20

トーヨーエイテック、自社開発の新型PVD炉が本格稼動へ
-PVDコーティングの高品質・高性能化を実現-

 トーヨーエイテック株式会社(本社:広島市南区、社長:本郷義昭)は新型のPVD(物理的蒸着法)炉を自社開発し、このたび本社工場へ導入しました。これにより、同社独自の商品であり戦略商品でもある「低温TiC」の更なる高品質・高性能化の実現と、新たなコーティング膜の生成が期待されます。

 今回開発した炉は、大型のアーク式イオンプレーティングのPVD炉TF-778N型です。同社では2008年に同形式の小型PVD炉TF-744型を初めて自社開発し、本社工場へ導入しました。続く2009年には同形式の大型炉TF-778型を東京工場へ導入し、「低温TiC」を始めとするPVDコーティングの拡販を行ってきました。

  • TIP炉「TF-778N型」

    TIP炉「TF-778N型」

  •  PVDコーティングは市場が拡大していますが、各社ともに新商品や戦略商品の投入等で競争がますます激化しています。トーヨーエイテックではTF-778型を全面的に刷新し、従来よりも高品質・高性能な膜を提供できる炉を新たに開発することで商品力の更なる強化を図る狙いです。そのため、新開発のTF-778N型炉は同社の戦略的な設備として位置づけ、2014年度中には東京工場へも導入する計画です。

新型炉の主な特長は以下の通りです。

(1)高品質・高性能な膜の生成

成膜へ影響力を及ぼす磁場のシミュレーションや品質工学を活用し、高速で緻密なコーティング膜を生成できる制御を新たに開発。これらを新型炉に採用することで、従来よりも高品質・高性能な膜の生成が可能となりました。

・膜の結晶構造が最適化されることにより、高硬度と高靭性を両立

・成膜時のドロップレット(※)が飛躍的に減少することで、優れた摺動性を実現

(2)新膜の生成

TF-778型と同様に、これまで工作機械の開発で培ってきたNC制御技術を活用し、ガス流量や炉内温度調整など成膜に必要な諸条件をきめ細かく制御できるようにしています。従来よりも高品質・高性能な膜の生成が可能となることとあわせ、新膜の生成にも適した炉といえます。

 トーヨーエイテックは工作機事業の不振により、今年度まで3期連続の減収・減益の見込みです。2014年度からの反転攻勢のためには、工作機事業の立て直しに加え、自動車部品事業と表面処理事業の底上げが必要となります。工作機事業では新商品の積極的な市場導入と販売体制の強化、自動車部品事業ではタイへの工場進出等、既に具体的な計画が進んでいます。

 表面処理事業では、拡大するPVDコーティング市場での拡販が鍵となります。新型炉を本社工場と東京工場へ設備することで、「低温TiC」の商品力アップに加え、将来が有望な自動車部品向けDLC商品や新膜の適用も容易となります。表面処理事業の前期売上は25億円、今期は27億円程度になる見込みであり、中期的には30億円を超える事業へと成長させる予定です。

(※)ドロップレット
被膜原料であるターゲットにアーク放電する際、局所的にターゲットが液状化し、それが固体化しながら飛散することで、コーティングされる加工物に付着する現象。